スペシャルインタビュー vol.5 牛尾理恵(料理研究家)

果てない空インタビューcamera
このブログでは有名無名問わず高い志を持った方々のインタビューも掲載していきます。
第5回目は料理研究家の牛尾理恵さん。牛尾さんは今までいくつもの著書をお持ちになる実力派の料理研究家さんでいらっしゃいます。牛尾さんが精力的に活動する源、おいしいレシピのことなどをお聞きしました。

  第5回 牛尾理恵(料理研究家)
料理研究家。フードコーディネーター。普段の食生活で実践できる作りやすくて味わい深いレシピに定評がある。著書の「圧力鍋でつくるおかずの感動レシピ」(成美堂出版)は圧力鍋初心者から高い支持を受け、ベストセラーに迫る勢い。最近出版された「春・夏・秋・冬 我が家の一年中圧力鍋レシピ」も好評。「かんたん・ごきげん! おいしい犬ごはん+おやつ」、「基本とコツがきちんとわかるおせち料理とほめられレシピ」(成美堂出版)など著書も多数。

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「食べることって大切にしなきゃって思います。

ー料理研究家という職業は特殊な職種かと思うのですが、牛尾さんはどうして料理研究家になろうと思ったのですか?

「小さい頃は食べることに興味がなく、食べる量も少なくて…お母さんに「もっと食べなさい!」って言われている子だったんです。ですが、短大に行く時に生物は好きだけど歴史が嫌いで、受験科目が生物、国語、英語で受けられるのが栄養学科とか看護系でした。でもどうせ短大に行くなら資格がとれた方がいいなと思って、栄養学科がおもしろそうだなと思い、行ってみようと思いました。」

ー短大で料理に目覚めた感じですか?

「いや、短大に入っても料理は相変わらず興味がなくって。調理実習でも私、洗い物担当みたいな感じだったんです。だから短大の友達は私がこんなお仕事するなんて思ってもみなかったと思いますよ。それから短大を卒業して広島の親の実家で栄養士をやることになりました。そこからだんだん料理ができるようになると、今度はこういう器に盛りつけてみたいなとか、こういうコーディネートしたところにお花飾りたいなって欲がでてきて料理関係の仕事ができたらいいなと思いました。」

ーそれから本格的に料理研究家の道に?

「とある有名な料理研究家の先生のアシスタントの募集があったので、応募したら採用が決まったんです。その頃その先生がメディアにたくさん出始めた時だったので、レストランと料理教室と撮影をみんなで掛け持ちしました。その時初めてフードコーディネーターっていう存在を知って、それで目指してみようと思いました。でも色々勉強してってタイプじゃなく、とりあえず飛び込んで体で覚えたいタイプなんですよね。フードコーディネーターの学校があることすら知らなかったぐらい。そして先生の所を辞めた時になぜか花屋さんで働いてみようって思ったんです。」

ー意外な選択ですね。お花屋さんはどれくらいやってたのですか?

「そこで2年くらいバイトしながら同級生を集めてお料理教室を開いたりしていました。でもお花屋さんはやってよかったな〜って思います。季節感が意識できることと、アレンジメントが盛りつけとすごく似てて、バランス感覚が学べたと思います。そのあと友達が始めた赤坂のデリのお店を手伝ってほしいって言われ、そのお店を手伝いました。そのお店は楽しかったのですが、すごく忙しくて…。毎日から揚げを揚げてもフードコーディネーターにはなれないな、そろそろ本腰入れなきゃと思ってた時に、求人雑誌を見てたらたまたま食の専門会社の募集がでてて。そこの調理部門に入りました。そこでフードコーディネーターとして会社に来た広告系のお仕事をしていました。」

ー広告には牛尾さんの名前は出るんですか?

「それは会社名だけで私の名前はでなかったのですが、私もフードコーディネーターを目指していたものの、一生に一度くらいは自分の名前が残るような本を作ってみたいなとは思っていたんです。その時そこで運良く自分の名前が出る本を何冊か出すことができました。それはラッキーでしたね。そこを辞めてからも色んな人のご縁があって助けていただきながら今ここに至る感じです。」

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ーどうやったらなれるかというのは人それぞれですか?

「私も時々フードコーディネーターの学校で講師をさせていただいたりするんですが、なる道はたくさんあるんだけれど、なり方は1つじゃないので、学校行ってっていうのも1つだし、私みたいに流れに身をまかせてっていうのも1つだし、派遣会社に登録するっていうのもあると思います。」

ーやっぱり栄養士の資格って必要ですか?

「フードコーディネーターに関しては栄養士の資格も必要ないし、極端なこというと私、フードコーディネーターの資格持ってないんです(笑)ただ、栄養士の資格持っていることで食材のことがわかったり、料理に関する知識が増えるのであった方がいいと思います。」

ー料理研究家さんってレシピを考えるのは大変じゃないですか?

「企画ありき の仕事をふられることも多いので、その時その時の条件や決まりがあって大変ですね。その点、秋に出た圧力鍋の本(春・夏・秋・冬 我が家の一年中圧力鍋レシピ―旬の圧力鍋おかず213レシピ)は食材は決まってましたが、味とか調味料とかは割りと自由にやらせてもらったので、とても楽 しかったです。」

ーAneCanでレシピも担当していらっしゃいますがあんなにたくさんお作りになって大変ではないですか?

「32種類作るので、レシピも思いつくまま作っています。食材も若い女の子が好きそうなものをとりあえず組み合わせ てみるとか、普通の人だったら思いつかないものをトッピングしてみるとか楽しみながら作ってますね。この前もハンバーグの特集だったのですが、若い女の子にウケそうなチョコレートソースを作ってみたりとか。他にもナンプラーみたいなアジアン風の味も好きだし、美容の為にはアボカドは欲しいよねと か、コクを出すにはチーズだよね、とか、キムチって意外といつも冷蔵庫の中にあるよねとか…。そういう特殊じゃないけど若い子が好きそうな、初心者だけど色々チャレンジしたい感じの人対象なので、私もおもしろがってレシピを考えていますね。」

ーメニューやレシピを考えるときって何をヒントに考えるんですか?

「自分の経験と想像力ですかね…。お洋服をコーディネートするのに似ている気がしますね。例えば、スカート買う時に自分の持ってるあのブラウスと合わせたらかわいいかなってまず頭のなかで想像するじゃないですか。あとこのスカートのラインや丈って私に似合うかなって。それは経験値ですよね。そんな感覚なんですよね。プラスこのアクセサリー足そうとか、このバッグにしよう、この靴にしよう、このタイツ履こうとか。それが調味料だったり、スパイスみたいなものだと思います。だから経験は自分が作ったものでもアリだし、どこかのお店に食べに行ったものがヒントになったりとか色々だと思います。」

ーレシピにご自身がお好きな食べ物っていっぱい使っちゃったりしますか?

「いっぱい使っちゃいますね!なんかアクセントにケッパー入れてみたいなーとか、なんかこう入れたい食材はありますね。好きな系統の味付けとか。」

ーそれでみなさん共感して下さるから、読者の方の舌と合っているんですね。

「でも私は元々フードコーディネーターとしてキャリアをスタートしたので、デパートのカタログとかメーカーの商品のパッケージとかの撮影をするのもすごく好きなんです。でも本を出すと中々そういう広告系のお仕事が減ってきちゃいますよね。本の撮影というのはスピード勝負で一回で作らなきゃいけない量が決まっているのでどんどんこなさなきゃ!って感じですが、広告のお仕事はどれだけおいしそうに商品を見せるかって丁寧にやっていかなきゃいけないお仕事なので、私の几帳面な性格にあってるのか、それはそれで楽しいんです。だからあんまり料理研究家っていう括りに縛られることなく、もうちょっとバランスよく広告系のお仕事もやれたらいいなーと思っています。」

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ーその広告だったり、本が形になった時に顔は見えないですけど、手に取ってくれた方とか目にした方のこととか考えたりしますか?

「考えますね。料理本は特に友達や親戚だったり近い人が目にするのでやっぱり「いい本ね」って言われると嬉しいし、だからあんまり恥ずかしい本は作りたくないっていうのはあります。それから最近は楽天ブックスやアマゾンとかでレビューを書いてあるのをどんなこと書いてあるのか怖いのであんまり頻繁には見れないですけど…、時々見て、参考にしています。知り合いの方にもあの本に載ってる牛すじっていつ作ってもおいしくって誰に食べさせてもおいしいって言ってくれるって褒めてもらって嬉しかったです。確かにこれドンピシャ!ツボなの〜!って料理が1品でもその本の中にあったら、その本って大切にするじゃないですか。そういう本が作れたらいいなと思ってます。でも1品だけじゃ本が成り立たないので(笑)そういう料理がたくさん載ってる本を目指してます。」

ー牛尾さんのお料理なのにそれが誰かの得意料理になるってすごいですよね。

「そういって下さると嬉しいですよね。でも、本にある味付けだけがすべてじゃないのでオリジナルの好みのものに作りかえても問題ないんですよ。」

ー食べることって大事ですよね。食べることに興味がないって人でも絶対食事しますから。

「「地球の食卓―世界24か国の家族のごはん」って本があるのですが、その本に載ってる貧しい国の方々でも着る服は1枚だったとしても、調理器具は何個もあるん です。突く棒だったり、臼だったり。それが全財産みたいなお家とか。でもそれが生活するために最低限必要なものなんだなって。だから食べることって大切にしなきゃって思います。」

ー牛尾さんの得意な料理とかありますか?

「圧力鍋をさんざんやったので煮物系が得意ですかね。家庭料理ですね。毎日のことなのでね。」

ー盛りつける器とかにはこだわりとかはありますか?

「土屋典康さんという陶芸家さんと親しくさせてもらっていて、その土屋先生の器を使わせてもらっています。撮影の時とかも評判がいいですね。」

ー牛尾さんと言えば、犬ごはんの本も代表作の1つですが、ご自身でも手作りなんですか?

「作ってますよ!まとめて作って1食ずつ冷凍して。うちのピノ(牛尾さんの愛犬)は最初全然ドッグフード食べてくれなかったんですよ。本当にどうやったらごはん食べてくれるのかなって。しつけ上、人が食べてるものをあげちゃいけないって言われて、その味を覚えちゃってドッグフードを食べなくなるって言われてたので、どうしようって躊躇してたんですけど、あまりにも食べないので試しに作ってみたんです。そうしたら、食べること自体が楽しくなったのかドッグフードもよく食べるようになったんです。今は何をあげても食べてくれるから、手作りにして良かったなと思いますね。犬って仲間意識が強い動物なんで、こうやって人間と同じものを食べることでより人間と近く感じられて、絆も深まった気がしますね。」

ーあと、このお仕事について一番よかったことはなんですか?

「おいしいものがいっぱい食べられること…ですかね。あとこの本売れてますね!とかいう評判を聞いたり、本の出来上がりを見た瞬間もそうなんですが、あぁよかった〜って思いますよ。」

ー逆に大変だったことは?

「やっぱり体力ですかね。現場になるとずっと1日立ち仕事だし、前日から食材の買い出ししたり、食器のリースに行ったりとか動き回ることが多いので、体力勝負だなって思いますよ。1回肺炎で入院してしまったことがあってその月はたまたま撮影が少なかったんですが、1つどうしても動かせない撮影が入っちゃってて、打ち合わせの段階から40℃近く熱がでてて、あまりに熱が高いので父に電話して聞いたら「それは肺炎だね、そのまま病院は行きなさい!」って言われたらその通り肺炎でそのまま入院することになって。その時は他の方に代わってもらえたので本当によかったんですけど、代わりがいない仕事なのでちょっと気をつけなきゃいけないので日頃からヨガや筋トレやったりして鍛えてます。」

ー今たくさんお仕事のオファーがあってお忙しいと思いますが?

「私はまだこの業界では若手なので体力ありますし、真面目にやる方なので牛尾さんならこなせるだろう〜って思いでお仕事をいただけてるのかなと思います。なので皆さんの要望に少しでも答えられるように心がけています。そしてこれからはもうちょっと自分らしい特徴もだせていけたらと思っています。これなら牛尾さんだよねって言ってもらえるようになりたいです。」

ー今後の目標をお聞かせ下さい。

「実は、収納アドバイザーになりたいんです。もともと収納には興味があってハウスキーピング協会の試験を受けるものなんです。元々几帳面で真面目な性格っていうのもあるんですけどその性格をいかしつつ、キッチンまわりをいかに快適に収納しつつお料理上手になれますよっていう提案ができたらと思っています。ただ単になんでも捨ててキレイにするということではなく、新しいキッチン用品や自分の好きなテイストのものをそろえているうちに、ぐちゃぐちゃってなっちゃうってことが多いと思うんですけど、「厳選した調理道具でいかにおいしく手際よくお料理が作れるか」という収納と料理を合わせたようなことができればいいなと思います。」

 

いつも明るく朗らかな牛尾さん。料理ってその方の人柄がでるような気がします。今月号から「栄養と料理」で連載が始まり、ますますお忙しくなるそうです。これからもさらなるご活躍をお祈りしています。

 

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