スペシャルインタビュー vol.4 大渕祐介(飼育トレーナー)

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このブログでは有名無名問わず高い志を持った方々のインタビューも掲載していきます。
第4回目は飼育トレーナーの大渕祐介さん。大渕さんがなぜ水族館でトレーナー、飼育員を始めたのか、水族館の魅力はなんなのか。そんな疑問をぶつけてみました。

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 第3回 大渕祐介(飼育トレーナー)

東京動物専門学校卒。2000年から横浜八景島シーパラダイスに務め、ふれあいラグーン、水処理担当を経て現在はパフォーマンス展示チームを担当。

 

「お客さんに喜んでいただいてもっと水族館の良さを知ってもらえたらいいと思いますね。」

ーまずは大渕さんがどうしてこの職につかれたのかをお聞かせ願えますか?

「小学校の低学年の時に先生がクラスの中で班を作って、ヒヨコを一羽づつ渡して、その班のなかでAくんはお父さんねとかBさんはお母さんねとか家族の役割を決めて、雛からニワトリまで育てるっていうのをやったんですけど、それがまず最初の動物とふれあいでしたね。その頃は動物園で働きたいな〜とか思ってたんですけど、小学生5、6年生の時に地元の水族館に行って、そこでショーをやっているスタッフの人がすごい楽しそうにやっているのを見て、それから自分は泳ぐのも好きだったので、この仕事についたら泳げるし見てるお客さんも楽しめるし一石二鳥だなと思って、それでイルカのトレーナーになりたいと思いました。」

ー動物全般お好きなんですか?

「そうですね。全般好きですね。犬や猫も好きですし。」

ーお家で飼われてたりとか?

「それがなかったんですよ。だから余計に動物を飼育したいっていうのがあったのかな。」

ー生まれたところに海は?

「ないですね。山の中にいたので余計に水族館って面白いなって思ったのかもしれないですね。身近にないじゃないですか。夏休みとか特別な時にしか行けなかったので。山の中ではタヌキとかは見れますけど。だから夏休みとかに行く楽しい場所っていう意識があったんじゃないかな。」

ー嫌いな動物とかは特にいないんですか?

「えーっと、蜘蛛…(笑)」

ー虫ですね(笑)虫が駄目なんですか?

「いや、蜘蛛だけですね。あとフナムシも駄目ですね…。」

ーそれで話を戻しますが、どういった経緯でトレーナーになったのですか?

「動物の専門学校に行きまして、そこで2年間学んで、そこを出てから最初は福岡の水族館の方に行ったんですね。そこで約5年働いて、その後は新潟の水族館で働いてて。そこはアルバイトだったので期限があって他のところを探してたら、ち

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ょうど「横浜・八景島シーパラダイス」で新しい水族館「ふれあいラグーン」がオープンする時で。スタッフ募集がかかってたので、それで応募して。なので最初は「ふれあいラグーン」の方でスタッフとして働いて、それから水質管理を行う水処理に行って、現在はホ乳類の飼育やショーの運営を行うパフォーマンス展示ってところにいます。」

ートレーナーになるための特別な特訓というのはあるんでしょうか?

「特別なことっていうのは特にないのですが、基本的に観察力を養うのが大切になってきますね。体調の悪い動物がいつもと違うのに気付けるかは大切なことですから。あとは潜水士の資格を積極的に取るように言われています。潜水士の資格がないと水槽の中に潜れないので。専門学校で取る者もいますし、持ってないものは入社してから取ったりもします。」

ーもともとイルカはお好きだったのはどうしてですか?

「何ででしょう…。多分哺乳類がいいな〜って思っていて。昔イルカショーを見た時に楽しそうにやってるのがよかった、っていうのもあるでしょうね。イルカの動きも良かったですし。」


ーこちらではオタリアが字を書いたりもしますが、やっぱりイルカとかオタリアとかは頭がいいんですか?

「そうですね…それぞれ能力があるので、何を持って頭がいいとするかは難しいんですが、イルカは反射神経が優れていると言われてますね。ジャンプのトレーニングをしてて、サインを作ってそのジャンプのサインをした時にはジャンプするとか。回転したりとか。
アシカとかは住んでいる場所が岩場とか、陸上で休憩するので、ああいうヒレアシの動物達は記憶力に長けていると言われてます。休憩する場所が決まっていて、魚を取りに離れたとしても、ここのところを右に曲がって〜とか、ここにはでっぱりがあるから気をつけて〜とか地理を覚えて自分たちの住処まで帰るって聞きました。
ペンギンも頭いいですね。顔も覚えるし、声も覚えるし。」

ーそれぞれに能力があるんですね。ショーの時には、イルカとトレーナーさんの意思の疎通とかも大事だと思うんですが、以前イルカがトレーナーさんのサインを見過ごした?その通りにしなかったのを見たことがあるんですが、動物がサイン通りに動いてくれない時ってありますか?

「そうですね。そういう時もたまにありますね。健康状態、体調が悪い時とか。あとは発情してるときとか。トレーナーよりも他のイルカとかメスが気になって、注意が散漫になってサインを見逃すことがありますね。」

ーイルカってショーの時にあんなたくさんのお客さんを前にしても緊張したりとか暴れたりとかしないんですか?

「あれだけ距離があるので緊張したりはしないですね。」

ーイルカって目はいいんですか?

「目はいいって言われてますね。昔はよくないって言われてたんですよ。今は水面から顔を出して空気に触れててもトレーナーのサインを見て種目をやってるので目はいいと思いますね。」

ートレーナーになってよかったことはなんですか?

「お客さんと接してお客さんの反応を直に見られることですかね。こっちが提示したらパッと反応が返ってくるので。それがやってて面白いところだと思いますね。」IMG_0939-1.jpgのサムネール画像

ー逆に辛かったことって何ですか?

「動物が死んでしまうことが一番辛いですね。あとは冬の寒さが辛いです…。」

ー亡くなった動物との想い出ってありますか

「ふれあいラグーンにいた頃に担当していたイルカが去年病気になってしまって。大きい水族館に移って治療していたのですが、その治療の甲斐もなく亡くなってしまったのが…。自分が八景島シーパラダイスにきて一番最初に受け持った動物だったので、思い入れが強い分亡くなってしまった時のショックは大きかったですね。胸にぽっかりと穴があいたような感じで辛かったです。」

ーこのお仕事で一番心がけていることってなんですか?

「一番心がけているのは動物の健康管理ですかね。自然から連れてきて、飼育するってことでお客さんによく知ってもらうために健康でいてもらうことが大事だと思ってます。それと平行してやっぱりサービス業なので、お客さんにその動物のことを知ってもらったりだとか、水族館は楽しいなと思ってもらえれば。楽しいから今度は動物のことについて調べてみたいなだとか、そういう方向に向いてくれると嬉しいです。自分が水族館にきてこの職に就きたいって思ったみたいに、今の小学生とか中学生とかが同じように思ってくれたらすごい嬉しいなって思います。」

ーバックヤードの見学とかも行われているんですか?

「そうですね。小学生・中学生向けに行っています。」

ーでは大渕さんだけが知っている海獣の秘密を教えてもらってもいいですか?

「多分一般の方って見たことないと思うんですけど、アザラシのヒゲってスッてまっすぐじゃなくて、ねじれみたいになってるんですよ。抜けたものを見てみると。何でかって言うと、ヒゲで波の抵抗を受けるんですけど、魚が泳いだ時の波を感じ取りやすいようにねじれたようになってるんですよ。なので犬みたいにつるんっとしてないんですよ。」

ー他のヒゲがある動物にはない特徴なんですか?

「そうですね。オタリアとかアシカとかはつるんとしているんですよ。なのでどちらかというとアザラシの方が水中で生活するのに適した体つきになっているからなのかなと思います。」

ーやっぱり受け持ってる動物の顔って個々にわかりますか?

「わかりますね。口角が上がってるイルカもいれば、下がってるイルカもいたり。それからイルカって傷が人間みたいに再生しないで白く残ったりするんです。そういった傷で判別したりとか。これはここに傷があるから誰々とか。そういうのはありますね。あとはアシカとかであれば顔は全然違うし、ペンギンも見てれば顔で違いがわかってくるし、あとはお腹のところに黒い点の模様があるんですが、それも一羽一羽絶対に違うんですよ。なのでそのへんで見分けたりとかですね。」

ー最後にこれからの目標を教えて下さい。

「何でもできる飼育係になりたいです。今は海獣とかずっとやってたのですが、お魚とかもやってみたいです。お魚に関してすごい世界が広いと思うのでそっちにも手を伸ばせて行けたら、自分の世界も広がっていくし、お客様にもどんどん情報っていうのも提供できると思うので、お魚もできる飼育係になりたいですね。」

 

インタビュー中、思わぬところから大渕さんとは同郷でしかも同い年ということがわかり、妙に親近感が湧いてしまいました。本当に動物が好きで真面目に動物と向き合っている方でした。こんな方が飼育員さんだったら動物も幸せだと思います。
時間の都合で全部見ることができなかったので、今度はプライベートで遊びに行きたいです!!

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横浜・八景島シーパラダイスホームページ

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